ラッピングトラックを走行させる際に行政の許可は必要?
街中や大型ショッピングセンターなどで、ラッピングトラックを見かけられた方も多いのではないでしょうか。「どうやってラッピングしているの?」「広告掲載には規定はないの?」など、さまざまな疑問を持たれるでしょう。そこで、今回はラッピングトラックを走行させる際に行政の許可は必要かどうかについて解説します。
広告を掲載する際はさまざまな法律・条例を守る必要がある
街中などで時折、目にするラッピングトラックですが、広告掲載にはさまざまな法律や条例があります。広告自体が法律に違反していると、ラッピングトラックを街中で走らせることはできません。では、どのような法律や条例があるのでしょうか。
まずは大前提として、著作権法について知っておかなければなりません。キャラクターやロゴマークなどを使用する際、他社の著作権に違反していないかどうかを入念に確認する必要があります。他社がデザインしたキャラクターやロゴ、キャッチコピーなどを著作者の承諾なしで勝手に使用することは禁じられており、無断で使用した場合は著作権法違反となってしまうのです。そのほか、車両の種類によっては道路交通法の対象になる場合もあるでしょう。
たとえば、広告トラックの場合、事前に管轄の警察官に「道路使用許可」を申請しておく必要があります。ラッピングトラックを走行させるには、法律や条例を守る必要があり、万が一、法令などを守らずに公道を走行すると、厳しい罰則の対象となってしまうので注意が必要です。
どんな法律や条例があるのか
ラッピングトラックに関する法律や条例と聞くと、あまり想像できないという方も多いでしょう。しかし、道路交通法や著作権のほか、屋外広告物条例など、さまざまな種類のルールがあります。たとえば、道路興津法では道路によってデザイン審査が行われる場合があります。デザイン審査に通らなければ道路使用申請が下りずに、ラッピングトラックを公道で走らせることはできません。
デザイン審査の基本方針は「交通安全に配慮」「公共空間に相応しい」「街区の景観に配慮」「街区の賑わいに資する洗練されたデザイン」「年齢、性別に係らず人々に不快感を与えない」「社会的弱者に配慮した」などの項目が審査方針に制定されています。また、デザイン審査費用は1点につき8,000円となっており、審査に必要な期間は約10日間です。審査を通して、修正を求められる場合もあり、必ずしも審査に通るとは限りません。
どうやって許可申請を提出すればよいか
許可申請の提出については、管轄エリアによって異なります。ここでは一例として、東京都における許可申請の提出方法を紹介します。まずは公益社団法人「東京屋外広告協会」から審査申込書を取り寄せます。もしくはインターネットから書類フォーマットをダウンロードできるので、申請書類を取りに行くのが難しい場合は、ホームページからダウンロードしましょう。そして、申請書類の必要事項に記入をしたあと、窓口に直接提出する必要があります。
ただし、東京都の場合は窓口への提出のほか、郵送やFAXにも対応しているので、直接窓口に行くのが難しい場合は、郵送等で書類の提出を行いましょう。そして、書類の提出が終わったら、デザイン審査が行われます。通常であれば10日以内に審査結果が出ますが、デザイン修正が必要な場合は審査期間内に修正を求められます。すぐに修正できない場合は、その分審査期間が延びてしまうので、余裕を持って申請したほうがよいでしょう。
審査していないトラックもある?
ラッピングトラックを公道で走らせる場合は、法令順守を徹底するのはもちろん、管轄機関による審査に通らなければなりません。ただし、許可を取っていないトラックが街中を走っているケースも少なくないのです。
というのも、条例というのは管轄エリアに登録されているトラックが対象なのです。つまり、東京都の条例では東京都に登録があるトラックが対象なので、ほか府県に登録があるトラックは条例の対象外になります。そのため、昨今は条例に相応しくないラッピングトラックを見かけることがあるのです。
まとめ
今回は「ラッピングトラックを走行させる際の法律や条例」をテーマに、法律や条例の種類、申請方法などについて解説しました。ラッピングトラックを走らせるには道路交通法に準拠するのはもちろん、大前提として著作権法を守らなければなりません。さらに、管轄エリアに属している広告協会によるデザイン審査を受ける必要があります。また、トラックの種類によっては、道路使用許可申請も行う必要があり、万が一、無許可で走行していた場合は罰則の対象となるので注意しましょう。ただ、最近は法令の抜け穴をくぐったグレーゾーンで走行しているトラックも少なくありません。しかし、各機関による審査や法令が厳しくなることが予測されるので、ラッピングトラックを走行させる場合は、しっかりと許可を取りましょう。