ラッピングトラックは車検にとおる?
カーラッピングは、車の外観を個性的にするだけではなく、移動しながら宣伝・ブランディングの効果も期待できます。基本的にラッピングを施した車は車検にとおるといわれていますが、実は違法改造車とみなされるケースもあります。本記事では、ラッピングの種類や違法改造車とみなされないための注意点などを詳しく解説します。
カーラッピングには種類がある!
カーラッピングは、車の外観を一新するための人気の手法であり、その種類には大きく分けて3つの方法があります。以下では、それぞれのラッピング方法の特徴について解説します。
パーツラッピング
パーツラッピングとは、車体の一部にフィルムを貼り付ける方法です。ボンネットやルーフトップ、ミラーなど特定の部位に部分的にラッピングを施すことで、車全体の雰囲気を変えたり、アクセントを加えたりします。
この方法の魅力は、比較的低コストで手軽に実施できる点です。他の車と差をつけたい、オリジナリティを出したいといった要望にも応えられます。
フルラッピング
フルラッピングは、車のボディ全体にフィルムを貼り付ける方法です。ドアノブからミラー、さらには細部に至るまで施工が可能で、車のカラーやデザインを大幅に変えることが可能です。
また、フルラッピング用のフィルムは厚みがあるため、車体の保護効果も期待できます。塗装に比べて、元のボディにダメージを与えず、気軽にカラー変更が可能です。
デザインラッピング
デザインラッピングは、特定のデザインやイラストがプリントされたフィルムを車体に貼り付ける方法です。企業のロゴや広告、特定の商品を宣伝するためのラッピングカーとして使用するのが一般的です。
個性的なデザインを施すことも可能であり、キャラクターやアート作品など、独自のスタイルを前面に出せます。
ラッピングトラックは車検にとおるのか
ラッピングトラックが違反車両として取り締まりの対象になるかどうかは、国土交通省が定める道路運送車両の保安基準に反していないかが基準です。ラッピングトラックに奇抜で大胆なデザインを採用すると、違法改造車として扱われないか、何かの違反になるのではないかと心配になるかもしれません。
しかし、国交省の基準を満たしていれば、どんなに派手で奇抜なデザインのカーラッピングでも、道路交通法上の違反にならないのです。もちろん、公道を走っても問題はなく、ラッピングが原因で車検にとおらないということはないでしょう。
ただし、デザインの内容などによってはほかの法律に引っかかる可能性があるので、法律上の基準をクリアしたうえでラッピングトラックを活用するなら、適法性もチェックしておくべきです。
ラッピングのやり方によってはNG?違法改造車とみなされるケース
ラッピングトラックは基本的に車検にとおるとされていますが、ラッピングのやり方によっては違法改造車とみなされることもあります。道路交通法の管轄ではありますが、車検の段階で注意や指示・改善がおこなわれるでしょう。自社のトラックを違法改造車にしないためには、いくつかの注意点を守る必要があります。
注意点:窓にフィルムやステッカーを貼らない
フロントガラスや運転席・助手席のサイドウインドウにラッピングフィルムやステッカーを貼ることは避けるべきです。視界を妨げるようなラッピングは、安全性を損なうため、違法改造車とみなされ、車検にとおらない可能性があります。
また、透過性(70%未満)を著しく低下させるような貼り方も同様に問題となります。フロントガラスや運転席側の窓ガラスは、視界を確保するために一定の透過性を維持しなければなりません。これを守らなければ、車検にとおらないだけではなく、道路運送車両法に違反する恐れがあります。
注意点:デザインに注意
ラッピングのデザインに関しても注意が必要です。とくに、刑法175条に抵触するようなわいせつな画像や、著作権法を侵害するキャラクターやロゴを使用したデザインは避けるべきです。
また、広告や宣伝に関する各自治体の規制も考慮する必要があります。これらの規制に違反するようなラッピングを施した場合、法的な問題が発生する可能性があります。
注意点:車両の機能や安全性を損なわない
車体の重要な部分やライト、ナンバープレートを隠すようなラッピングは、視認性を低下させるため、違法と判断されることがあります。また、反射素材を使用したラッピングは、ほかの運転者に対して眩しさを引き起こす可能性があり、これも法的に問題となることがあります。
違反になったらどうなる?
車の違法改造については民事・行政上の処分はありません。ただし、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられることがあります。ほかにも、改善措置を求められる整備命令やナンバープレート・車検証の没収などの処分を受けるでしょう。
自動車保険への影響
ラッピングした車が保険に加入できるかどうかは、保険会社の方針によるところも大きいですが、違法改造車とみなされると、自動車保険加入時においても問題となります。
基本的に、違法改造車は保険会社が扱う自動車保険には加入できません。仮に加入できても、事故後に違法改造が発覚すれば補償対象外となり、保険金は支払われないでしょう。
しかし合法的なカーラッピングであれば、保険への加入は問題ありません。ただし、前述のような違法となるラッピングを施した場合は、保険が適用されないリスクがあるため注意が必要です。
また、ラッピングフィルムの損傷についての補償がどうなるかは確認が必要です。多くの保険商品では、ラッピングフィルムやステッカーの損傷は、補償対象外となることがあります。
まとめ
ラッピングトラックは基本的に車検にとおりますが、いくつかの重要なポイントを守る必要があります。フロントガラスや運転席側の窓ガラスにフィルムを貼らないこと、わいせつな画像や著作権を侵害するデザインを避けること、各自治体の広告・宣伝に関する規制を遵守することが求められます。これらのポイントを守れば、ラッピングトラックは問題なく車検にとおり、道路交通法上の違反となることもありません。しかし、安全性や視認性に問題があるラッピングは、違法改造車と見なされ、車検にとおらない可能性があるため、十分に注意してラッピングを施すことが重要です。