アドトラックで宣伝する時に注意すべき規制はある?

公開日:2021/08/01   最終更新日:2023/01/16


宣伝効果が非常に高いアドトラックですが、内容や宣伝方法によっては消費者に歓迎されないこともあります。不快かそうでないかには個人差がありますが、最低限守らなければならない法律や条例もあるので、まずはそれらをしっかりと理解しておきましょう。アドトラックで宣伝する際の注意すべき規制について、詳しく解説していきます。

屋外広告物条例施行規則

こちらは東京都の場合になりますが「屋外広告物条例施行規則」が改正されたことにより、不適切な広告を用いたアドトラックは道路を走行する許可が下りなくなりました。どのような規則かというと、公益社団法人の「東京屋外広告協会」がアドトラックを含む車体利用広告のデザイン審査を行い、不適切な広告であるかどうかを判断するものです。デザイン審査の基本方針は以下の通りです。

■デザイン審査の基本方針について

どのような点を審査するのか、基本方針について見ていきましょう。

1.交通安全に配慮したデザインであるか
2.公共空間に相応しいデザインであるか
3.街区の景観に配慮したデザインであるか
4.街区の賑わいに資する洗練されたデザインであるか
5.年齢、性別に係らず人々に不快感を与えないデザインであるか
6.社会的弱者に配慮したデザイン及び広告方法であるか

■広告デザインの基準について

広告デザインの基準について説明します。

・基本的事項
公序良俗に反しないこと、公衆に対し不安や不快の念を与えないこと、暴力や犯罪など反社会的行為を誘発、助長する恐れのないことなど、消費者に不安や不快感を与えないデザインでなければなりません。

・交通安全面から特に配慮、規制すべきデザイン
信号機や道路交通標識などの効用を妨げるデザインでないこと、人や商品などが車道に飛び出すように見えるデザインでないことなど、運転する人に対して配慮のあるデザインでなければなりません。

・景観面から特に規制、配慮すべきデザイン
景観面に配慮して、どぎついデザインやくどいデザインを使用しないこと、彩度の高い色や原色、金銀色を広範囲に使用しないこと、文字を出来るだけ少なくすることなどに注意します。

・自主規制または禁止すべき事項
運転者面の広告宣伝目的の表示は禁止、後続する車両運転者の注意力を散漫にするような広告宣伝は極力抑えた表現にしなければなりません。また、広告表示を目的とした走行は、午前8時から午後11時までになっています。広告表示面の照明については、できるだけ明るさを抑えるとともに、点滅は禁止となっています。

不適切な広告に関して

アドトラックは屋外広告宣伝車両のことを総称しており、歩行者や車両通行者などに対し宣伝効果が高いと言われています。東京ではとにかく目立たせるという考えから、派手なライトや大音量で走行するアドトラックが増えました。
住宅街を風俗店の広告が走ることなどが大問題になり、住民からの苦情も相次ぎました。その為東京都は平成23年に「屋外広告物条例施行規則」を改正し、デザイン審査基準をクリアしたものでなければ走行できないようにしました。
デザイン審査の基準は
・交通安全に配慮したデザインか

・公共空間にふさわしいデザインか

・街区の景観に配慮したデザインか

・街区の賑わいにふさわしい、洗練されたデザインであるか

・すべての人々に不快感を与えないデザインか

・社会的弱者に配慮したデザインや広告方法であるか

の6点となっています。公序良俗に反するものや、道路交通標識や信号を見えなくさせるもなどで、きついデザインや色遣いのものは不適切な広告としてみなされる可能性が高いでしょう。

アドトラックでの宣伝は走行エリアの法令を遵守していないと、逆に悪評を招くことも考えられます。その為、まずは走行エリアの法律を徹底して守りましょう。

拡声器暴走音規制条例

アドトラックなどの屋外広告では、デザインよりも騒音について苦情が寄せられることが多いでしょう。音響面に関しては、地方自治体ごとに騒音に関する条例が制定されています。拡声器暴走音規制条例は、アドトラックの他に不用品回収車などの拡声器(スピーカー)を使用して走行する車が対象となります。

■拡声器暴走音規制条例の内容

地方自治体ごとに制定されている条例ですが、内容についてはほぼ同じで、拡声器から発せられる騒音が、そこから10m以上離れた地点で観測して音量が85デシベルを超えた場合に「暴騒音」であるとしています。このような暴騒音で道路を走行した場合は違反になり、6ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金が科せられると定められています。

道路通行許可申請

アドトラックが宣伝目的で道路を走行するには、上記で説明した条例や規則を守ることはもちろんですが、さらに「道路通行許可申請証」を発行してもらう必要があります。これは道路の使用許可に関連する条例、道路交通法第77条で定められているものです。道路において作業や行事を行い、一般交通に著しい影響を及ぼす恐れがある場合は、その場所を管轄する警察署所長の許可を受けなければなりません。

広告宣伝を行うアドトラックも、プロモーションすることで道路に人が集まるなど交通に影響を及ぼすとみなされているため、この申請が必要になります。道路通行許可申請は、そのアドトラックの所有者が行うことになります。基本的にはアドトラック業者が行うのですが、広告主がアドトラックを所有しているのなら、広告主側が申請を行います。

申請には「道路通行許可申請書」と道路を使用する場所や付近の見取り図などの添付書類が必要になります。道路通行許可申請書は警察署でもらうこともできますが、警視庁のホームページからダウンロードも可能です。管轄する警察署によって必要な添付書類が異なることもあるので、事前に確認しておけば間違いないでしょう。

申請するための費用もかかりますが、都道府県ごとに金額が設定されているので事前に確認しておくようにしてください。また、申請書を提出してすぐに許可証が発行されるとは限りませんから、走行する予定日に間に合わないことがないように、余裕を持って申請するようにしましょう。

 

東京都で見たアドトラックが、条例に反するような不快なデザインだった、このような話も耳にします。実は東京都で登録されていない車両ならあり得ること、他県で登録した車両なら規則が適用されないとのことです。不公平だと感じる人もいるかもしれませんが、アドトラックによる宣伝広告は各自治体によって条例や規則も異なるので、運行する際はその地方の条例や規則に違反しないよう注意し、きちんと申請書を提出してください。

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